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世田谷美術館「「実験工房」展―戦後芸術を切り拓く」

戦後まもなく日本を席巻した前衛芸術運動「実験工房」。知っていたことと言えばピアニストの故・園田高弘さんが加わっていたことぐらいで,まとめて観る機会はありませんでした。三連休の中日はその企画展を観に世田谷美術館へ。公立館として初のまとまった展示だとか。

尖った表現は「若者が芸術を牽引していかないと!」という熱気に溢れていました。私見ながら,テクノロジー的には現代のほうが洗練されているはずなのですが,なぜか「温度」を感じさせないことが多いです。ある人の言ですが,時と場合によっては「表現のスタイルにばかり意識が行って内容が空疎になる」という厳しい批評も聞かれます。映像作品も複数ありましたが,生々しい素材の入れ方,音の不安定なパッセージが,逆に恐怖感をあおられて臨場感がありました。画像

さて,今日は午後いっぱい扇形の立派な講堂で演奏会があり,これが今日行ったお目当てでした。前半は実験工房のメンバーでもあった武満徹のソロ作品,1時間の休憩後(ここで展示を観てもいいですよ,という配慮なんですね),後半は二大ピアノのメシアン「アーメンの幻影」という贅沢なプログラム。

時間を見誤って到着が遅れ,聴けたのは残念ながら後半だけでした。「アーメンの幻影」は実演を聴くのは二度目ですが,概して金属的・単色的なな轟音が際立ち,教会のステンドグラス的な微細な煌めきがあまり感じられないものでした。好みとしては,やや期待していた演奏と異なった印象でした。
これは曲の構造がそうだから,とは言えないと思います。メシアン本来の旋法(Mode Tramsposition Limited)や音色は更に色彩感あふれるものだと思います。音楽に聴きなじみのない方にとってはビックリするような轟音だけでも耳を惹くような曲かもしれませんが…。せっかく共演ピアノが煌めきあふれる響きをかもしだしていたのに対して,主演ピアノに音量・音の持続を力で出そうと意識しすぎるきらいが見て取れました。もしかしたら,例えばこれをオルガンで弾くなら困難は多少とも和らぐのかもしれません。
とは言え,主演ピアニストは講演に慣れた実力派。誰でも知っている「きらきら星」をメシアン独自の音階に置き直して会場に合唱させるなど,巻き込み方・楽しませ方はさすが。

なお到着は遅れたものの,世田谷の街並みをじっくり回る機会もできました(と前向きに受け止める)。特に砧公園から京急用賀駅に至る家並み。何気ない感じなのですが,全てがコンパクトにまとまって静かで…この大都心にこんな風景があるなんて信じられません。テレビっぽく言えば「日本のよいもの,ぎっしり。」とかいう標語が似合う。住みたい(住めませんが)。また訪れてみたいです。

◎NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ

http://naxos.jp/special/jikkenkoubou

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